マレーシアに長期滞在できるMM2Hビザは、リタイア後に海外移住でセカンドライフを送るためのリタイアメントビザとして人気のビザです。しかし、2021年に条件が変わり、預金や流動資産などの取得条件が厳しくなったため「収入が足りないのでは?」「移住の条件が満たせるか不安」と心配な人もいるのではないでしょうか。
この記事では、MM2Hビザの取得条件やメリットなどを2021年改変後の情報で分かりやすく解説します。MM2Hビザにかかる費用や注意点も紹介するので、MM2Hビザの取得を考えている人は申請時に困らないためにもぜひ最後まで読んでください。
MM2Hビザとはマレーシアに長期滞在できるビザ
MM2Hビザの正式名称は「マレーシアマイセカンドホーム」で、マレー半島に5年以上の長期滞在ができます。2021年に条件が厳しくなり以前に比べて取得が難しくなりましたが、税金や生活費などでメリットが多いマレーシア移住希望者に人気のビザです。
また、MM2Hビザの取得が難しくなったことでサラワク州のS-MM2Hビザとサバ州のSBH-MM2Hビザが新たに注目を集めています。これらのビザはMM2Hビザに比べて資産条件がゆるい点や滞在義務日数が短いなどメリットもありますが、不動産購入など独自の取得条件には注意が必要です。
MM2Hビザの取得条件や有効期限
MM2Hビザの取得条件は2021年に変更され、資産や収入の金額が大幅に引き上げられました。有効期限も10年から5年に短くなりましたが、取得条件を満たせば何回でも延長申請できるため、実質的な永住が可能といえるでしょう。
初回の申請ではパスポートに残っている期間がビザの有効期限とされますが、ビザの有効期限が5年未満だった場合はパスポート更新後に残りの期間を延長申請可能です。また、パスポートの残期間は24ヶ月以上必要です。
MM2Hビザの有効期限
- 5年(更新後さらに5年/延長申請に回数制限なし)
- 初回申請時はパスポートの残期間のみ
MM2Hビザは、ビザ申請とビザ取得が承認されたあとの本申請にそれぞれ必要な条件があります。以下の条件を満たせるよう、事前の準備が大切です。
<MM2Hビザ申請時に必要な取得条件>
年齢 | 満35歳 |
資産 | 150万RM(約4,500万円)の流動資産がある |
収入 | 月4万RM(約120万円)以上の国外収入がある |
(1RM/30円換算)
<MM2Hビザ承認後の本申請に必要な取得条件>
預金 | マレーシア国内の定期預金が100万RM(約3,000万円)以上ある
※49歳以下の人は帯同家族1人につき5万RM(約150万円)の定期預金額が加算される |
取得後の滞在義務日数 | 年間で通算90日以上(夫婦合算も可) |
医療保険 | 加入義務は1年目のみ |
年間登録料 | 500RM(約15,000円) |
年間手数料 | 申請者:5,000RM(約150,000円)
帯同家族:1人につき2,500RM(約75,000円) |
(1RM/30円換算)
MM2Hビザのメリット
MM2Hビザを取得すると実質的な永住が目指せるだけでなく、税金面でもメリットがあります。
ここでは、MM2Hビザのメリットについて解説します。
MM2Hビザのメリット
- マレーシアに長期滞在できる
- 家族を帯同できる
- マレーシアの銀行に口座を開設できる
- 節税になる
- 年金の受け取りが非課税になる
- 社会保険料が安くなる
- 住宅ローンが優遇される
マレーシアに長期滞在できる
MM2Hビザは初回の申請で最長5年の滞在許可がおり、何度でも延長申請が可能です。取得条件を満たしていれば10年以上の長期滞在ができるので、マレーシアの生活が気に入っている人や長く住みたい人には最適のビザといえるでしょう。
家族を帯同できる
MM2Hビザは家族を帯同でき、配偶者、21歳未満の子ども、60歳以上の両親と配偶者の両親と一緒にマレーシアでの生活が可能です。
子どもを現地の学校に通わせる場合には、MM2Hビザ取得後に子どもの学生ビザを取得する必要があります。
マレーシアの銀行に口座を開設できる
マレーシアの銀行の金利は3%程度で、日本の資産をマレーシアの銀行に移動させれば金利によって利益を得られます。
銀行にジャパンデスクが用意されていたり、定期預金金利キャンペーンが行われていたりと積極的にサポートを行なっているので、銀行口座の開設はスムーズにできるでしょう。
節税になる
マレーシアは「タックスヘイブン=税の天国」と言われ、日本と比べて税金が非常に安い国です。消費税や住民税、相続税などがないので日本と比べて大幅に節税できます。一部のホテルやレストランなどではサービス税として6%課税されますが、日常生活ではほとんどかかりません。
所得税は滞在してから182日以内は非居住者扱いとなり、最高税率の30%課税されますが、182日以上経過すると5〜10%に下がります。払いすぎた税金は翌年の確定申告によって還付されるので、忘れずに申告しましょう。
<日本とマレーシアの税金比較>
マレーシア | 日本 | |
消費税 | なし | 10% |
住民税 | なし | 10% |
相続税 | なし | 最大55%(累進課税) |
贈与税 | なし | 最大55%(累進課税) |
所得税 |
・滞在してから182日以内は所得の30%(最高税率) ・滞在してから182日経過後は所得の5〜10%(累進課税) |
収入の最大45%(累進課税) |
固定資産税 | 100㎡のコンドミニアムで約1,000RM(約30,000円) | 固定資産評価額
× 標準税率1.4% |
(1RM/30円換算)
年金の受け取りが非課税になる
マレーシアと日本が締結している租税条約によって、必要な手続きを行えばマレーシアで年金を受け取る際に非課税になります。非課税にするためには、日本に住民票がなく、日本年金機構に「租税条約に関する届出書」と「在留証明」の提出が必要です。
社会保険料が安くなる
マレーシアに移住すると日本で支払う健康保険料・年金・住民税が免除できます。また、日本に支払う義務のある所得税も申請すれば減税可能です。
一般的に、所得税は収入が発生した国で支払う義務があり、マレーシアへの移住時に日本の住民票を抹消しただけだと所得税は20%です。
しかし、給与を支払う会社側に税金の減免申請を行なってもらえば10%に減税されます。健康保険料などの社会保険料の免除申請は役所に行き自分で行ないましょう。
- 健康保険料・年金・住民税は役所で手続きすれば免除される
- 所得税は給与を支払う側に申請してもらえば10%の税率になる
住宅ローンが優遇される
MM2Hビザを持っているとマレーシア国内で不動産を購入できます。また、MM2Hビザを持っていない場合の住宅ローンの融資限度額は一般的に物件価格の50%程度ですが、MM2Hビザ保有者は60〜70%の住宅ローンの借り入れが可能です。
MM2Hビザのデメリット
MM2Hビザはメリットの多いビザですが、少なからずデメリットもあります。
ここでは、MM2Hビザのデメリットを解説します。
MM2Hビザのデメリット
- まとまった資金が必要
- ビザ申請に時間がかかる
- マレーシア国内で就労・就学できない
まとまった資金が必要
MM2Hビザは2021年の改変によって、収入額や預金額の条件が大幅に引き上げられました。マレーシアでの就労は認められていないため、国外でまとまった資金が用意できないとビザの維持が難しくなります。
取得時の定期預金を引き出すには使用目的や期間が定められているため、生活資金も別に必要です。MM2Hビザの延長申請で預金等の条件を満たしていなければ更新できないため、長期的な資金の確保は大切です。
ビザ申請に時間がかかる
MM2Hビザの申請を開始してから取得まではおよそ1年程度かかると見ておきましょう。手続きに必要な書類の準備を行ない、申請してから取得許可が出るまでに3~6ヶ月、取得許可が降りて6ヶ月以内にマレーシアに渡り、本申請を行ないます。
本申請は問題がなければ通常数日で終了し、MM2Hビザが取得できます。自分で申請を行なうと労力も時間もかかるため、マレーシア政府認定の代行エージェントに依頼するのが近道です。
マレーシア国内で就労・就学できない
MM2Hビザでは、マレーシア国内での就労・就学は認められていません。特例として、50歳以上で専門的な知識・技能が必要な専門職と認められた場合のみ、週20時間以内の就労が可能ですが、実際には申請が難しいのが現状です。
MM2Hビザにかかる費用
MM2Hビザを取得する際にかかる費用は申請費用だけではありません。
ここでは、MM2Hビザにかかる費用を項目ごとに解説します。
取得費用
MM2Hビザの取得費用は1人につき500RM(約15,000円)です。また、取得後は帯同する家族も含めたMM2Hビザ取得者全員の年間手数料も必要です。
MM2Hビザの取得費用(1人の場合)
- 申請費用:500RM(約15,000円)
- 年間登録料:500RM(約15,000円)
- 年間手数料:申請者/5,000RM(約150,000円)、帯同家族/2,500RM(約75,000円)/1人
- 申請代行エージェント費用:約20〜30万円
(1RM/30円換算)
移住費用
マレーシアに移住する際にかかる費用は大きく分けて引越し費用と渡航費用、賃貸契約の初期費用です。ビザの取得時に物件選びなどで複数回マレーシアに渡航する必要があるため、渡航には格安航空を使うと費用が抑えられます。
マレーシアに移住する日本人のほとんどが、安い家賃で高級マンションの快適な暮らしができるコンドミニアムに住みます。賃貸契約の初期費用はおよそ家賃の4ヶ月分が必要です。
- マレーシアへの引越し費用:10万円〜
- マレーシアへの渡航費用
- LCC(格安航空):3万円〜
- 大手航空会社:5万円〜
- マレーシア賃貸契約の初期費用
- 保証金(デポジット):1〜2ヶ月分
- 光熱費保証金(デポジット):0,5ヶ月分
- 初月家賃:1ヶ月分
- 印紙・事務手数料:0.25ヶ月分
- 仲介手数料:エージェントによる
上記の合計:家賃の4ヶ月分
マレーシアの不動産に関する商習慣や現地のオーナーとのやり取りは個人では難しいため、現地の情報や実績が豊富で、日本語対応可能な仲介業者に依頼すると安心です。
生活費用
マレーシアは物価が安いため、日本の2/3の生活費で快適に暮らせます。日本製品は2〜3割高い価格で売られているので、日本製品だけにこだわってしまうと生活費が上がってしまう原因になるでしょう。
移動は配車サービス「Grab(グラブ)」を使うと15分程度の移動であれば500円以下で利用でき、電車の初乗り運賃は30円ほどなので、車を持っていなくても交通費は安く済みます。
マレーシア移住でかかる生活費(夫婦の場合)
- 食費:60,000円〜
- 水道光熱費:10,000円〜
- 通信費:5,000円〜
- 交通費:10,000円〜
- 日用品費:10,000円〜
上記の合計95,000円〜
MM2Hビザの注意点
MM2Hビザを取得する際には、預金や収入金額以外にも注意するべき点があります。以下に紹介する注意点をあらかじめ把握して、問題なく申請を行なえるようにしましょう。
MM2Hビザの注意点
- ビザの条件が変更される場合がある
- マレーシアの医療保険に入る必要がある
- 永住は保証されない
- 定期預金を維持する
ビザの条件が変更される場合がある
MM2Hビザは2021年に大幅に条件が変更されたため、MM2Hビザを取得してマレーシアに長期滞在したいと考えていた人のなかには、ビザの取得を諦めざるを得なくなった人もいるでしょう。
MM2Hビザに限らず他のビザでも、マレーシア政府の方針転換によって取得条件が突然変更されてきました。リスク管理の点から見ても、取得条件変更によって取得・更新できなかった場合を想定しておくのが安心です。
マレーシアの医療保険に入る必要がある
MM2Hビザは医療保険への加入がビザの取得条件として定められています。マレーシア政府に認可された医療保険であれば特に指定はないので、本申請の際に自分で選んだ民間の医療保険に加入しましょう。
マレーシアには健康保険制度がなく医療費は全額自己負担となるため、病院代をカバーしてくれる医療保険に加入していれば安心して診察を受けられます。
永住は保証されない
MM2Hビザは長期滞在が可能なビザですが、マレーシアへの永住が保証されているわけではなく、申請時に審査された結果、更新できない場合もあります。
取得条件が変更された影響でビザが更新できず、永住を希望していたものの日本に帰国しなければいけなくなった人もいるのが現状です。マレーシアでの永住ができなくなった場合を想定し、いざという時のために備えておくようにしましょう。
定期預金を維持する
MM2Hビザの取得条件には、マレーシア国内の銀行に定期預金が100万RM(約3,000万円)以上なければいけない決まりがあります。ビザ取得後1年経過していれば50万RM(約1,500万円)を解約可能ですが、不動産購入や医療のためなど使用目的が限定されます。
延長申請時に必ず規定の定期預金額を維持していなければビザの更新が難しくなるため、定期預金残高には注意が必要です。
現地の情報を知る不動産業者への相談がおすすめ
MM2Hビザは、物価が安く日本人の住みやすいマレーシアに長期滞在できるビザです。節税や住宅ローン優遇など多くのメリットがある一方で、ビザの取得条件が大幅に変更されるなど注意も必要です。
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